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皆さんは、ポスターなどの印刷はどのように行われているか知っていますか?CMなどでよく見る、紙の上に直接ドット状にインクを落としていく方法(インクジェット方式)が全てだと思っていませんか?最近ではこの方法が増えてきましたが、それとは別に昔から用いられている方法があります。それは『PS版』と呼ばれる板を用いる方法でオフセット印刷といいます。これは、小さい頃にやった「版画」のような方法です。PS版上にはインクが塗られていて、PS版の上に写したいフィルムをのせ、そこに光を当てることでPS版上にフィルムを写し取ります。そのPS版と紙を合わせることで紙にそのフィルムの絵を写します。しかし、PS版に塗られているインクの色は1色なので、ポスターが完成するために、この工程を数回繰り返します。この方法で印刷された画はインクジェットとは違う独特の味があり、初めにその画を見せられたときその綺麗さに驚かされました。 今回訪問させていただいた岡本化学工業株式会社はこのPS版の開発・製造・販売をやられていました。 岡本化学工業株式会社は1932年(昭和7年)に初代社長長岡本唯次が岡本化学工業所として設立しました。当時は感光性樹脂原料『フィッシュ・グリュー感光液』を製造しており、その原料の1つである「すけとうだら」が取れる北海道の釧路市に会社はありました。1952年(昭和27年)に埼玉県蕨市に連絡所を設置し、1961年(昭和36年)に蕨営業所を北海道本社より分離し、同時に名称を岡本化学工業株式会社に改称しました。また、この年にジアゾ系感光液の製品化に成功し、共に感光性アルミ印刷版(オフセット印刷用PS版)の研究開発にも着手されました。そして、2年後の1963年(昭和38年)に日本で初めての純国産PS版の製造・販売を開始されたそうです。つまり、この年から日本のオフセット印刷の歴史が始まりました。その後、PS版量産工場と して埼玉県大利根町に工場を設立し、以来埼玉を中心に研究・開発・販売を行ってきました。さらに、関西方面では大阪に営業所を置き、その販売網を全国に広げています。 岡本化学のPS版は他社にない特徴を持っています。 それが「凸型砂目」です。PS版では、調子再現性、汚れにくさ、耐刷力といった三大印刷性の実現化のために1つ1つの砂目形状とその密度をミクロ単位で制御しなければなりません。通常、PS版の元となるアルミ板は研磨され、その表面に高密度でミクロのくぼみを形成しています。これは「凹型砂目」と呼ばれ、他社ではこの形式を用いてPS版を作っています。岡本化学でも他社と同じように、研磨することで表面にはミクロなくぼみができます。しかし、岡本化学のPS版はそれで完成ではありません。その後で、くぼみが出来た表面に無数の超微細な「積球」を敷きつめて表面積を大きくし、その上で不感性樹脂処理を行っています。こうすることでインクの保水性を従来の表面の数倍増加させることができます。これが「凸型砂目」です。これが、あれほどまでに綺麗な印刷を実現させているのだと関心させられました。 上述したように、岡本化学はオフセット印刷用PS版のパイオニアです。そして、今も大事にしておられるのが『想像力』です。北海道ですけとうだらから感光性樹脂を作っていた時も、初めてジアゾ系感光液を開発した時も、日本初のPS版を作った時も大切にしていたのは、新しいことを想像する「想像力」です。高い想像力を活かし、それを創造する。岡本化学は2つの『そうぞう力』を持って、今日までやってこられました。そして、これからも高いソウゾウ力を活かしてPS版の新時代を作っていきます。そして、これからのデジタル化時代。岡本化学は、PS版のみならず印刷業界全てのパイオニアとしてこれからも歩みを続けるでしょう。

対応者: 代表取締役 岡本博明氏
取締役研究室長 江坂照男氏
訪問者:応用化学科2年 佐々木智章
     :産学官連携コーディネーター 木下裕美
※インタビューの雑誌名、掲載期日は調査中とのこと